中年太りは加齢だけが原因ではなく避けられる老化現象!
「食べる量は変わってないのに、最近なんだか太ったような気がする」と、お悩みのあなた。悲しいことですが、もしかしたらそれは「中年太り」かも…。
人は年をとると脂肪がつきやすく、そして痩せにくくなります。これは老化現象のひとつで、個人差はありますが30代頃から現れ始めます。
様々な事が引き金になり、身体に脂肪が溜まっていく中年太り。どのような事が原因で太ってしまうのか見ていきましょう。
Contents
中年太りの一番の原因は基礎代謝量の減少
基礎代謝とは、
- 呼吸
- 心臓の拍動
- 体温の維持
- 臓器の活動
などの為に消費されるエネルギーのこと。安静にしていてもこれらのエネルギーは消費されます。つまり、何もせずただ寝ているだけでも消費されるエネルギー量を基礎代謝量と言うのです。
1日のエネルギー消費量のうち、基礎代謝が占める割合はおよそ7割。残りは日常生活の活動や食べ物を消化吸収する際に消費されます。
平均的な体重の場合、女性の基礎代謝量の基準値は以下のようになります。
年齢 | 基準体重 | 基礎代謝量(1日あたり) |
---|---|---|
10〜11歳 | 35.7kg | 1240kcal |
12〜14歳 | 45.6kg | 1350kcal |
15〜17歳 | 50.0kg | 1270kcal |
18〜29歳 | 50.0kg | 1180kcal |
30〜49歳 | 52.7kg | 1140kcal |
50〜69歳 | 53.2kg | 1100kcal |
体重が重く、筋肉量が多い程基礎代謝量も多くなります。したがって女性よりも男性の方が基礎代謝量は多めです。
特にエネルギー消費が多い臓器は、
- 骨格筋
- 肝臓
- 脳
などです。
身体の成長が終わると、身体を作る為のエネルギーが必要なくなり、維持する為のエネルギーだけで事足りるようになります。なので歳を重ねると基礎代謝量が減ってくるのです。
また、体や細胞の約半分はタンパク質から出来ています。人には「タンパク質合成能力」というものが備わっていますが、歳を重ねるとこの能力が低下し、細胞が生まれ変わるサイクルが遅くなったり、筋肉も減ってきます。特にエネルギー消費の多い筋肉が減ることも基礎代謝量が減る原因の一つです。
若い頃と同じような食生活を続けていると必要以上のエネルギーを摂取する事になり、使われなかった余分なエネルギーは肝臓に蓄積されます。
そして、肝臓でも溜めきれなくなったエネルギーは脂肪細胞へ溜まっていきます。これが、中年太りの原因なのです。
食事や生活習慣を見直す事なく全く同じ生活を続けていると、1年間に増える体重は0.3kg。20歳〜30歳までの10年で3kg、40歳までに更に3kgと、20年間で6kg太ってしまう計算になります。
酸化と糖化が身体の老化を引き起こし、肥満の原因に
身体を老化させる主な原因は「酸化」と「糖化」です。アンチエイジングの大敵と言われている酸化と糖化は中年太りも促進させます。
身体を錆び付かせる「酸化」
私達の体内では、食べ物から摂取した糖質や脂質と酸素が結びついてエネルギーを生み出します。しかし酸素を摂取する事により体内で活性酸素が発生します。
活性酸素にはウイルスや細菌などを攻撃し、身体を守る役割がありますが、増え過ぎると細胞を酸化させ、身体の老化を促進させてしまいます。
活性酸素が身体に与える悪影響は、
- シミやそばかす、しわ等の肌の老化
- 疲れやすい、目がかすむ等の身体の不調
- 骨や歯が弱くなる
- 動脈硬化やがん等の深刻な病気
等があります。そして、身体は過剰な活性酸素を取り除く「活性酸素除去酵素(SOD)」を持っていますが、このSODもまた歳を重ねると減少していきます。
このように活性酸素の増加が中年太りの一因となるのですが、脂肪が増える事が活性酸素が更に増える原因となるため、これを放置すると恐ろしい「肥満の無限ループ」に陥ってしまうのです。
抗酸化作用のある食品を摂取する事で、活性酸素の増加を防ぐ事が出来ます。抗酸化作用が高い食品には、
- バナナ
- アボカド
- かぼちゃ、にんじんなどの緑黄色野菜
- ニンニク、しょうがなどの香味野菜
- 緑茶
- ブルーベリーなどのベリー類
などがあります。
体内のタンパク質が焦げつく「糖化」
もう1つの老化の引き金となるのが「糖化」です。これは食事から摂取した糖と体内にあるタンパク質が結びついて発生する「糖化タンパク質」という物質が体内に蓄積してしまう事。
糖化タンパク質は体温の熱に反応して「焦げつき」を起こし、終末糖化産物(AGEs)と呼ばれる物質になります。AGEsも活性酸素と同様に毒性が強く、老化を促進させます。脂肪がつきやすくなるだけではなく、
- 肌の老化
- 血管病変を起こす、
- 糖尿病の合併症やアルツハイマーの原因になる
等、様々な悪影響を及ぼします。AGEsを溜めないようにするには、糖質の摂取を控えめにし、血糖値を抑えるよう注意する必要があります。
ホルモンバランスの乱れが肥満を引き寄せる
閉経に向かう40歳前後(更年期)になると、ホルモンバランスが乱れてきます。このホルモンバランスの乱れもまた、中年太りと深い関わりがあります。
健康に役立つホルモン・DHEAの減少
体内で分泌されるDHEAと呼ばれる物質は「若返りホルモン」と呼ばれており、
- 免疫力を高める
- 筋力を維持し代謝を高める
- 脂質異常、問う女房を予防する
- アルツハイマーを予防する
等、様々な効果があります。
また、後述の女性ホルモン・エストロゲンの元にもなります。このDHEAは加齢に伴い分泌量が減少していきます。また、ストレスもDHEAを減少させると言われています。
エストロゲンの減少が肥満を促進させる
妊娠・出産に適した身体を作る為のホルモン・エストロゲン(卵胞ホルモン)。更年期を迎えるとエストロゲンの分泌も少なくなります。これにより身体に様々な影響が現れます。
まず、筋肉が増えにくく、脂肪を分解しにくい身体になります。特にお腹周りに脂肪がつきやすくなります。また、精神的に不安定になり、ストレスから過食気味になる事も。
寝付きが悪くなる事により食欲抑制の効果があるインスリンや、食欲を抑え代謝を促すレプチンと呼ばれる物質が体内で減少する事も肥満に繋がると言われています。
中年太りを引き寄せる生活習慣にも注意!
中年太りは老化現象…なのである意味不可抗力とも言えますが、不健康な生活習慣も中年太りの原因です。思い当たるふしがあれば改善するよう心がけたいものです。
自律神経の乱れ
身体のONとOFFを切り替えるスイッチとも言える自律神経。ストレスや夜更かしなどの不規則な生活を続けていると、このスイッチの切り替えがうまくいかなくなり、身体が緊張した状態が過剰に続くようになります。
これにより代謝や血流が悪化したり、消化器官の不調が起こり、肥満や病気の原因となってしまうのです。
活動量の低下
若い頃は部活動などで身体を動かしていた人も、大人になり仕事や家事で忙しく、なかなか運動する時間を取るのが難しくなります。
しかし、前述の通り人は歳を重ねる程基礎代謝量が減っていきます。個人差はありますが、意識して身体を動かすようにしないとどうしても太りがちになってしまうのです。筋肉を付ける為にも、運動する習慣を身に付けたいものです。
分かっていてもやめられないけど…お酒の飲み過ぎは×!
お酒大好き!お酒が無い人生なんて考えられない!という方も居ると思います。個人的に気持ちはとてもよく分かりますが、やはりお酒の飲み過ぎも中年太りの引き金になります。
「お酒のカロリーは吸収されない」という話をご存知でしょうか。お酒が好きな人の中にはこれを固く信じている人も居ますが、残念ながらそれは適量の場合のみの話です。
摂取したアルコールは肝臓で分解されますが肝臓は普段、脂肪を分解する役目を持っています。身体の中にアルコールが入ってくると、肝臓はアルコールを優先的に分解し始めます。
つまりお酒を頻繁に沢山飲んでいると脂肪の分解がおそろかになり、太りやすい身体になってしまうのです。
お酒を飲んでいるとやっぱりおつまみが欲しくなりますよね。ビールやハイボールによく合う揚げ物などは高カロリーです。締めのラーメンなんてもってのほか!
また、ビールや日本酒などの醸造酒には糖質が含まれており、これも見過ごす事は出来ません。お酒を飲む時は、糖質やプリン体が殆ど含まれていない焼酎やウイスキー等の蒸留酒を選ぶ事をおすすめします。
食生活を見直し、健康的な生活を心がけましょう
このように中年太りには様々な原因があります。老化は避けられませんが、食べ物に気をつけたり、お酒の飲み方を見直す、生活習慣を改めるなど、対策を立てれば中年太りは回避できます。
願わくばいつまでも若々しくありたいもの。もう歳だし…と諦めないで、出来ることから始めてみませんか?
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