心がざわつく…更年期がもたらす不安感。心身のバランスを整えて解消へ

これといった理由もなく、心がざわついて落ち着かない、今の生活や将来のことが心配になって心細くなる…。こんな症状は、更年期によく見られます。

ですがこうした不安感を放っておくと、神経症やうつに陥ってしまう危険性があり、すぐに対処することが必要になります。

更年期の不安感はどのように解消していったらいいのでしょうか。簡単にできる方法から紹介してきます。

体も心もアンバランスになる女性の更年期

更年期は主に40代から50代の女性に見られる精神身体症状です。この期間に閉経を経験する女性がほとんどであり、ホルモンバランスの変化も起こります。

女性ホルモンである卵巣ホルモンは、脳の視床下部の命令によって分泌され、妊娠や出産など女性の生理活動を維持するために働きます。

ですが、閉経の時期が来ると卵巣から出される女性ホルモンの量は激減します。それは今まで活発だった卵巣の働きが沈静化されていくからです。

そのため、脳が卵巣に向かって女性ホルモンを出すように命令をしても、卵巣はそれに答えられません。

女性ホルモンの分泌が確認されないので、視床下部は混乱してさらに多くの命令を出します。

この一連の動きが神経のバランスを乱し、精神不安を招くのです。そしてわけもなく心が不安感で一杯になってしまいます。

いつまで続くの?不安感が解消されるまで、長いと5、6年かかります

更年期の基準は閉経の時期です。閉経とは、丸1年間生理が来ない状態を言います。そしてその前後の10年間が更年期なのです。

閉経の前は整理の日数が短くなったり、タイミングが崩れたりなどの前駆症状があります。理由の分からない不安感もそのころから始まる人が多いようです。

不安症状は早い人なら2年から3年で回復しますが、人によっては完治まで5、6年かかる場合もあるようです。

あまり長引くとかなりの負担ですが、更年期の特徴として、年齢が高くなると症状が軽くなる事もあるようです。

更年期の不安感は、解消を焦らずに規則正しい生活を心がけながら、時間をかけて付き合っていくものと言えそうですね。

子育てが一段落して「空の巣症候群」になる

40代から50代に掛けて、女性の日常の大きな変化が子育ての終了です。進学や就職で家庭を離れる子が出てきたりして、それまでの生活が一変します。

今まで世話をしていた対象が居なくなることで、心に空虚感や寂しさを感じて、不安にさいなまれるようになるのです。これを空の巣症候群といいます。

空の巣症候群は、精神的な不安症状なので、ホルモンの乱れを原因とする更年期症状とは厳密には分けて考えられています。

ですが、精神の調子の乱れは体の不調とも深く関わっています。そのため、更年期に起こりやすい不安感と子の成長に伴う「燃え尽き感」は無関係ではないのです。

衰えていく自分の体と向き合うことの不安

ホルモンの変化は体の働きの大きく影響を与えます。その一例です。

  • 骨密度が下がる
  • 体力が落ちる
  • 筋力が低下していく
  • 代謝の低下

この結果、30代までと同じように生活していても、すぐに疲れてしまったり、太りやすくなってしまいます。

そうなると現実的な問題に上がってくるのが「老い」の課題です。年を取って体が衰えて行き、やがて老化がすすむということは大きな不安感を呼びます。

このように、40代から50代に掛けての更年期の女性は、身体的な変化、精神的な変化に直面して過剰なストレスにさらされるのです。

長引くと辛い更年期の症状。クリニックに相談!

更年期の症状の出方は人によって違います。軽くすむ人もいれば、長引いて辛い思いをする人もいます。

長引く症状を抱えて毎日を過ごすのは心身に悪影響です。そんな場合の対処法を紹介します。

クリニックで受けられる不安の治療

産婦人科クリニックなどが実施している更年期の精神症状への治療は、様々なアプローチがあります。

代表的なものです。

  • カウンセリング
  • ホルモン療法
  • 漢方薬
  • 向精神薬

特に、不安感を持っている人の治療の場面では、心に抱えている思いを吐き出させることが重要なので、カウンセリングを勧められることが多いでしょう。

カウンセリングは不安の原因を特定する目的を持っているほか、聞き取りだけでは解消できない症状の治療法を考える参考にもなります。

カウンセリングの後、血液検査を通して女性ホルモンの分泌に異常が見られる場合はホルモン治療が行われます。

ホルモンのバランスに問題がない場合は、精神的なストレスを解消するために向精神薬の投与が行われます。

しかし、中には向精神薬の使用に抵抗感を持つ人もありますので、その場合よりマイルドな方法として漢方療法が採用されることもあります。

更年期の不安感、セルフケアする方法

クリニックにかかる時間がないという場合には、セルフケアをする方法を見つける必要がありますね。

心が感じている不安を簡単に解消する方法もあるのです。そこで、日常的に取り組めるセルフコントロールの方法を紹介します。

「不安なこと日記」をつける

漠然と不安に感じている、何が心配なのか分からない、という場合は、手帳や日記帳、日記アプリなどを利用して書き出し、視覚化して確認する方法が有効です。

自分が何に不安を感じているのか分からないと思っていても、文字にする作業を通して頭の中が整理され、今の状況を客観視できるようになります。

体力が落ちてきた、子どもが1人でやっていけているのか不安、将来のお金をどうしよう…など、具体的な問題点が分かってきます。

不安とは、全体像が見えないことから起こります。そのため、文字にして全体像を把握することで、「なんだ、そんなに大変じゃない」と自分を安心させることができます。

自律神経を穏やかにするための運動

ホルモンバランスの変化で自律神経が不調を起こし、不安感をもたらしている場合は、軽い運動を習慣づけることが効果的です。

神経の働きは心拍や呼吸と密接に関わっており、呼吸のテンポがよくなると、おのずと神経のリズムも整ってきます。

そこで、ウォーキングやヨガなどを5分~10分行い、呼吸を整える習慣をつけましょう。すると自律神経の乱れが解消され、不安感もなくなっていきます。

40代以降は不安が一杯。定期的なケアを欠かさずに

女性の40代は、ホルモンの乱れによる自律神経の不調などから不安を感じやすいものですが、それだけでなく生活の変化にも直面します。

将来への不安、子どもが巣立っていく不安、親の介護をしなくてはいけなくなる不安などです。1つ1つ解消していくために、セルフケアと同時に受診も行いましょう。

プロのカウンセリングを受けることで、自分が不安に感じていることはなんなのか明確化することもできます。そうすると、不安感の解消に1歩近づけますよ。

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