腰痛の原因は更年期かも。ホルモンの変化が招く腰周りへの影響

40代以降になると、朝ベッドから起き上がるときや、立ち仕事が続いた後などにひどい腰痛におそわれることがあります。

強い腰痛は更年期に起こりがちな症状です。特に腰は上半身を下半身を繋いでいる人体の要なので、痛めると生活に支障が出てしまいます。

更年期特有の腰痛はどのように治療していったらいいのでしょうか。家庭で取り組める方法はあるのでしょうか。

更年期の腰痛が起こる原因3つ

腰痛の大まかな原因は、軟骨が少なくなること、骨密度が少なくなること、筋肉量が少なくなることで起こります。

こうした症状と更年期との関係を見て行きましょう。腰を中心に姿勢を保っていられなくなる原因がわかります。

女性ホルモンの減少で軟骨が磨り減る

卵巣から作られる女性ホルモンのうち、エストロゲンは骨と骨の間にある軟骨の状態を保つ働きがあります。

そのため、更年期に入って卵巣の働きが鈍ると、エストロゲンの量が減少して軟骨のコンディションが悪くなっていきます。

膝や腰が痛むようになるのは、こうして軟骨の量が減ることにより、骨と骨がこすれあうようになってしまうからです。

ひどい場合は立っていられなくなるなど重篤な症状に発展することもあります。少しでも異常を感じたら、整形外科で診察してもらいましょう。

骨密度が減ることによって骨が体を支えられなくなる

人の骨は、新しい骨を作る細胞と、古い骨を壊す細胞とのバランスによって健康な状態が保たれています。

ですが、閉経が近づいてエストロゲンの量が減っていくと、骨を壊す細胞、破骨細胞の働きだけが活発になり、新しい骨が作られなくなって骨密度が落ちていくのです。

その結果骨は体重を支えることができなくなり、徐々に腰周りに負担がかかるようになっていって腰痛へと発展するのです。

腹筋が衰えることで腰に負担をかけます

エストロゲンが減少することで、全身の筋肉の量も減っていくことがわかっています。特に腰痛と関わってくるのは腹筋です。

お腹の筋肉がしっかりしていると、体の前面から姿勢を保持してくれます。そのためまっすぐに立っていられるのです。

更年期に入って筋肉量が減ると、腹筋自体も痩せてきます。そのため徐々に腰の骨を支えられなくなって、周囲に負担がかかり痛みを感じるようになってしまいます。

また、腰の骨が支えられなくなって腰椎周辺の神経が圧迫されることによっても、腰痛は起こります。

肥満が原因で腰痛が起こる場合

筋肉量や骨密度が減ることに伴って、基礎代謝が落ちて今まで以上に太りやすくなってしまうことも腰痛の原因に挙げられます。

体重が増えると、それだけ骨が支えなくてはいけない重さが増えます。先に挙げたように、腰は体全体の運動量を支える中心部です。

体重が増えたときに真っ先に影響を受けてしまうのは腰だと言われます。常に重い荷物を持って動いていることを想像すると分かりやすいでしょう。

体重は増えているのに、それを支える筋肉や骨は弱っています。そのため、余計に腰周辺が圧迫されてしまうのです。

更年期の腰痛解消法はボディメイク

ひどい腰痛に悩んでいる方は、ボディメイクに取り組んでみることをおすすめします。これは体重減らすことと、筋肉の量を維持することにつながります。

さらに適度な運動をして筋肉を鍛えると、骨にも刺激が加わって再生が促されます。更年期は体型を気にするだけでなく、健康維持のための運動が重要なのです。

おすすめ筋力トレーニングはスクワット!

更年期に取り組むべき運動に第一は、筋トレです。女性ホルモンの減少と同時に筋肉量は減っていきますから、すぐに取り組んで欲しいですね。

中でもスクワットは、大きな筋が集中している下半身を効率よく鍛えることができます。そのためダイエット効果も高いのです。

また、近年の研究ではスクワットは下半身だけでなく腹筋を鍛える効果もあることが分かってきました。全身の筋肉に影響する運動なのですね。

スクワットのやり方です。

  1. 肩幅に足を開いて両手は前に出す
  2. 背中を曲げないように気をつけて、椅子に腰掛けるように腰を落とす
  3. ゆっくりと元の姿勢に戻る

これを10回×3セットを目安に行いましょう。慣れてきたら回数を増やしてもいいですし、ダンベルで負荷を付ければさらに引き締め効果が上がります。

有酸素運動で体脂肪を燃やしましょう

肥満が原因で腰痛を発症してしまった方は、急にスクワットを始めるのではなく、少しずつ体重を落としていきましょう。

その際に効果的なのが、有酸素運動です。一定のテンポで繰り返す運動の総称です。エアロビやヨガなども含まれますが、ここではウォーキングをおすすめします。

きちんと背筋を伸ばして、正しい姿勢を意識しながら20分程度のウォーキングを1日に1回行うようにしましょう。

また水中ウォーキングも膝や腰に負担をかけずに行えるので体重が重い方にはおすすめしたいですね。

食事を変えることでカルシウムを補給

運動によって骨密度を上げることもできますが、そのためには骨の原料となるカルシウムが必要になります。

そこで、毎日の食事にカルシウムが豊富な食品を足すことで、積極的に成分を補っていきましょう。

カルシウムが豊富なものと言うと小魚ですが、骨ごと食べられる缶詰の魚もおすすめです。また、小松菜と油揚げの煮物など簡単に作れて保存もできます。

中でも効率がいいのが、大豆製品です。豆腐のお味噌汁などはそのいい例ですね。このように少し気をつけるだけでカルシウム不足解消食は作れます。

腰痛体操で腰の稼動域を広げる

いきなり激しい運動ができないほど強い痛みがある場合は、腰痛体操をして腰の間接の稼動域を大きくしていくといいですね。

間接が柔軟に動くようになると、腰周りの血流がよくなるので、疲労物質がたまりにくくなり痛みが和らぎます。

腰を支えるために腹筋体操

体が曲がらないように腰を支えているのが腹筋です。そこで、ゆっくりとした腹筋を繰り返すことも腰痛改善につながります。

腹筋のやり方です。

  1. 寝転んで膝を曲げる
  2. ゆっくり息を吐きながら上半身を起こしていく
  3. 45度程度の角度を意識しながら5秒キー


またゆっくりと上半身をおろしていく

ここで注意すべきなのが、痛くない範囲で動かすということです。そして動作はゆっくりと行いましょう。

腰の筋肉を伸ばしてストレッチ

凝り固まってしまった筋肉を伸ばして、新しい血液が流れやすくします。血流改善は筋肉の痛みをとるために重要です。

腰のストレッチ

  1. 寝転んで片方の膝を両手で持つ
  2. ゆっくりと呼吸しながら膝を胸のほうにひきつける
  3. 反対側も同様に

ゆっくりと腰の裏側が伸びていくのを感じながら行いましょう。少し痛いな、と感じる場所でとめるのがポイントです。あまり無理をしてはいけません。

腰痛改善のために利用したいグッズ

慢性的な腰痛を改善するためにも、普段使っている椅子やマットレスなどを変えてみることもいいかもしれません。

寝具の中には腰痛に特化したものも多く製造されています。腰周りをサポートしてくれるものを見てみましょう。

椅子に座っているときに骨盤周りを支えてくれるクッション

正しい姿勢で椅子に座っていないと、腰痛はますますひどくなっていきます。特にデスクワークの長い方はその傾向が強いです。

椅子に座るときに使うクッションのなかで人気なのは、腰周りのサポーターになるものです。

プロテクタータイプは底板と背もたれがついたタイプで、座布団タイプには低反発素材が使用されています。

どちらも座っている時に腰の筋肉への負担を軽減してくれるものです。また、椅子そのものにもクッション素材が使われているものなどがあります。

自分にあった反発のマットレスを選ぶ

腰痛のある方は布団よりもベッドで眠るほうが、腰の負担を減らせます。起き上がるときの痛みを軽くしてくれるからです。

ベッドを使用する際にはマットレスを工夫しましょう。コイル式のものとウレタンのものがあります。それぞれ横になったときの反発力や寝心地に特徴があります。

好みの問題もありますが、腰痛がひどい方はあまり柔らかすぎないものを選ぶのがいいでしょう。

柔らかいマットレスは起き上がるときに体が沈みやすく、余計な力がかかってしまいます。そのため腰への負担が大きくなるのです。

理想は、寝ているときに体の圧を分散して、正しい姿勢を保ってくれるものです。寝具店で実際寝て試してみるのがいいですね。

運動や食事に気をつけることで腰痛を解消しましょう

軟骨の磨り減りが酷くなった場合には、整形外科でヒアルロン注射などの処置を受けなくてはいけませんが、そうなる前にできることを自宅で取り組みましょう。

欠かせないのが運動です。ボディラインを解消する意味でアンチエイジングに欠かせないものですが、筋肉の量を増やすことで腰痛も改善できます。

同じく骨密度も改善するので、食事でカルシウムを補給しつつ、筋トレを行うなどして体の衰えにストップをかけましょう。

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